小屋番の部屋

千曲水源のみち

本日はボッカ。

くだるのは、千曲水源のみち。

道の状況、詳しくはこちらも→きーちゃんの部屋

雪、

雪、

雪〜。

北側斜面のため、まだまだ雪は解け残っています。

「千曲水源の碑」地点で30cmくらい。

積雪は、千曲水源より２kmくらい下がったあたりから始まっています。

気温や時間にもよりますが、滑り止めは必要。

軽アイゼン、またはチェーンスパイクで充分です。スパッツもあった方がよいかも。

おすすめはチェーンスパイク。

土があるとこ、ちょこっと雪があるとこ、土と雪が混じっているとこ…、ちょっと迷うような場面で使いやすいです。

1700mくらいまで下ってくると…、

木が芽吹いてるー。

思わず声が出た。

かわいいなぁ。

同じ「芽吹き」でも樹種によって、いろんな色。茶色っぽいのや黄緑色、紫がかったの…。

てんてんてん、と赤ちゃんみたいな葉っぱが、律儀に枝についているねぇ。

陽の光のあたり方や、透け方で、色んな色に見えました。自然のつくる色やかたちってすごい。やっぱり人がつくるものは全然敵わないなあと思う。






コケもなんだか楽しそうに光ってます。

何撮ってるのー？

「何スミレですかねー？」

「とりあえずスミレ！」

「こっちは？」

「さっきと違うスミレ！」

(タチツボスミレ、とのことでした)

写真を撮り撮り下りました。

たまにはやっぱり外を歩きたいねえ。

行きは楽しいボッカ道でしたが、帰りはやっぱりしんどかった。

今シーズン初めてのボッカは、体が重くてなかなか足が進みませんでした…。

怖いと思ったら面倒くさがらずにアイゼンを。

休憩時には、体を冷やさないように防寒着を。

毎回毎回ブログで書いているようなことを、身に染みて感じた一日でした。

はぁ〜。

もうちょっと頑張ろ。

ごと

5月7日の日記

朝の気温0℃。天気くもり。

陽が射さないとやっぱり肌寒い。

昼間屋根を叩く音がすると思ったら、ひょうでした。日中は10℃に届かず。

寒い。

五月後半に雪が降った年もあったそう。

泊まりに来られるなら、防寒着が一枚あったほうがよさそうです。

東京八王子市の体感気温で言えば、2月3月くらいの気温でしょか。分かりづらいたとえだけど。

ちなみにわたしは夜間、フリースの上にダウンベスト、ズボン下を履いて寝てます。

寒い。

さて。

夜な夜な、土間の床にうつる影。

正体は…

照明の引っ張りひも(?)にくっついているヤマネのぬいぐるみ。

ふだんはまん丸なのですが、

これがホックでまん丸になっている、ということに初めて気がつきました…。

この場所にぶら下がり続けて十数年。

みんなの手あかやストーブのすすで、すっかり内側と外側の色が変わっていました。

背中と

おなか。

買った当時の色、こんなだったのね。

そういえばそういえば、今年はまだヤマネさんの姿を見かけません。

去年見た、オジサンみたいな顔のヤマネくんは元気でやってるかな。

自らの連休を投げ打って、お手伝いにきてくれたスギさんヒラノさん、ありがとうございました！

ごと

5月6日の日記

朝の気温0℃。天気晴れのち曇り。

ゲラゲラ笑ってプリプリ怒って、

たくさん呑んでたくさん食べて。

バラバラにやってきたひとたちが、また三三五五、バラバラに出かけていきました。

連休のせわしなさもひと段落。

普段は静かな奥秩父の縦走路も、たくさんの人で賑わっていたよう。

そんな中、お客さんからお客さんへ、粋な贈り物がありました。

同じ路を反対側から後日やってくる予定の友達に、

「もしかしたら来ないかもしれないけど、来たらビール一本渡してください」

とビール代を預かりました。

そして翌々日。

無事、手渡った〜。
なんとも粋なリレーではないですか。こちらは何をした訳ではないですが、なんだかちょっと嬉しかったです。よかったね。


この日の晩は、出身も年齢も仕事も、下界では接点もまったくなさそうな人ばかりでしたが、なんとも面白い夜になりました。夜におこることって、なんだか「濃い」なあ…。朝になったらまた普通に日常になっちゃって。ほんとにあったかどうか疑わしいような、おかしな夜でした。


ごと

5月5日の日記

朝の気温２℃。天気晴れ。





水槽の底からコンニチハ。


ご存知の方も多いかと思いますが、小屋の水は山梨県側の笛吹川の源流からポンプアップしています。ポンプで汲み上げた水は、直接小屋の蛇口に直結している訳ではなく、いったん小屋裏の大きなタンクの水槽に貯めてから使用しています。
昨日、ちょうど水槽がカラになったのでこの機会に水槽内の掃除をしました。

プール掃除みたい…。足もとをジャボジャボしながら、せっせと雑巾がけ。

すっきり〜。新しい水を汲み上げるのが嬉しくなります。
金魚を放流したいくらい？きれいになりました。
このタンクから、飲み水、炊事の水、トイレの水、小屋のすべての生活水をまかなっています。天水利用の山小屋に比べると、ここは水に苦労していないかもしれません。が、沢から水を上げる作業も、やってみるとけっこう手間のかかること。下界では蛇口をひねると当たり前のように水が出てきますが、ここではすべての作業を自分たちでどうにかしないといけない…。機械まかせにはできない作業です。そこが山小屋の面白いところでもあり、厳しいところでもあるのかも。
小屋ではお水を１リットル５０円でお分けしていますが、利用する際にちょっとそういうことを想像してみてください。


小屋近辺では日に日に雪が融けていますが、北側斜面や樹林帯にはまだ雪が融け残っています。特に、金峰、大弛方面から来る方、国師ヶ岳付近の積雪で時間がかかるよう。時間に余裕を持って行動してみてください。
どのルートも、アイゼン（軽アイゼンやチェーンスパイクでも）、スパッツは必要。少しの雪でも下りは特に怖いです。怖いと思ったら、面倒くさがらずに滑り止めをつけるくせを。

徳ちゃん新道、下の方ではシャクナゲが咲きはじめたそうです。
もう春？小屋にいるとまったく実感できませんが。

この晩は、個性的？なお客さんがあつまってにぎやかな晩になりました。みなさんありがとです。
「消灯時間ですよー！」ってもっと機嫌良く言えるといいのになあ…。


また来てね。

ごと

お奉行さん

世の中には「奉行」と名のつく人が、色んな分野にいらっしゃることと思います。

この甲武信小屋にもお奉行さんがいます。今日はそのお奉行さんのお話。





山小屋の業務の一つに、布団の上げ下ろしがあります。混雑した日の翌朝は、すべての布団をたたむのも一苦労。常連さんが手伝わされることもしばしば（いつもありがとうございます）。
掛け布団、掛毛布、敷き布団、敷毛布、とありますが、その中でもいちばん難易度が高いのが、「掛毛布たたみ」。


まずは小屋番二年目のわたくしが挑戦。

改心の出来！…と思いきや、積み上がってみるとなんだか「ピシッと」感がない。
そこで登場。

「布団奉行」！
お奉行さま、よろしくお願いします！

さすがの手際です。
動画で撮影したいところですが、省エネのため、割愛、割愛。カット、カット。

積みあがりましたッ！上から見てみるとピシーッと、ピシーッと角が揃っております。これぞ小屋番１５年目の貫禄。

こちらはわたしの積んだ方。違いが一目瞭然。

まだまだ修行が足りませぬな…。

布団の乱れは心の乱れ。参りました〜。




小屋はオンボロですが、よーく見るとあちこちにこだわり？が見え隠れ。
わたしも他の山小屋に泊まる時、やっぱりあちこちに目が行ってしまいます。そうすると、その小屋のこだわりが見えてくるのがおもしろい。
街のホテルのようなサービスはできませんが、ちょっとしたこだわり…というか心意気に気がついてもらえたら嬉しいです。



ごと